前回に続き、I.M.Pei設計の蘇州博物館ウォッチングを続けます。今回は、外部の庭ではなく、内部の庭的な空間です。
大階段のところがホール状に拡がり、その大壁面のところに壁泉があります。これがなかなか面白い!
上の方に水の吹き出し口があって、壁の一部が斜めに水路状になり、その部分を水が伝って下の方へ流れます。斜めに落ちる部分の間には、垂直に流れ落ちる部分があり、水の表情が微妙に変わります。
これを見ていて思い出すのが、昔、縁日で売っていた「俵ころがし」。斜めに渡された幾つかのすべり台の上を、俵状のプラスチックの中にビー玉が入った玉をころがせるもの。昔はプラスチックではなく、繭だったとか。ここでは繭玉にかわり、水が流れるといったもの。かすかに聞こえる水の音と、このシンプルさですね、魅力は。
ここの階段がまた良いですね。柱が無いので、伸びやかに生き物が腕か翼を拡げたようでもあり、その翼の向こう緑と水を配するこのバランス。滑るの注意の看板だけは、どかして欲しいでした。
階段は贅沢にも1枚の石、それを硯のように中央を削り込んで重ねたもの。削り込んだことにより、蹴上げと踏面(ふみづら)の境界に隙間を作り、それによって陰影のある階段のデザインが生まれています。ここも清掃のバケツ!掃除が終わったら片付けましょう。