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ヴォー・ル・ヴィコントのお城には、庭園の設計者であるル・ノートルに関する展示があり、これがなかなか面白いのです。古い平面図も見応えがあるものですが、このヴォーの庭園がどうやってできているかを、簡単な模型と映像で解説してくれるのです。
簡単な模型といったのは、詳細な庭園の模型ではなく、庭園ができる以前の自然地形、緩やかな起伏の地形の模型が最初に置いてあり、その模型の上に、庭園や城の映像を次々に投影していき、現在ある庭園がどの様に造れてきたかが解るようになっています。
庭園ができる以前の自然地形。 そこに庭園が造られていく過程を映像で紹介しています。 ル・ノートルの胸像も。 お城の中には、こんなマネキンが!暗い廊下を歩いて、突然横の光のある方向を見ると、これですから驚かされます。デカプリオの映画「仮面の男」の撮影に使われ、ルイ14世との関わりでの噂のある事から、このマネキンが置かれています。
それにしても、ベルサイユ宮殿、ヴォー・ル・ヴィコントの様な幾何学性の強い平面のフランス庭園は、その両極端にある英国風景式庭園や日本庭園の観点から見ると、自然に対する考え方の違いを強く感じるものでもあります。
この点については、恩師であるペンシルベニア大教授であった故イアン・マクハーグの著書「デザイン・ウィズ・ネーチャー」下河辺淳、川瀬篤/統括監訳、集文社に示唆に富んだ記述があるので、幾つか引用します。
「1世紀ほどして新たな傾向が生まれ、第2期を迎えた。アメリカが植民地時代初期のころである。このころすでに、デザインの中心は、数においても表現の完成度においてもフランスに移っていた。フランスでもイタリア同様、人工的な単純さがデザインの基本とされたが、平坦で扱いやすい地形が選ばれ、より規模の大きな作品が生み出された。アンドレ・ル・ノートルの作になるボー・ル・ビコントやベルサイユ宮殿はフランスのバロック様式で飾られ、土地空間のデザインにユークリッド幾何学を取り入れたものとしてはその頂点を成す。ベルサイユ宮殿は中央で交差する十字形の構造になっている。ルイ14世は、交差するこの2本の線のもとで暮らしていた。神授の王権を象徴するものである。宮殿の足元には整然と整えられた庭園が広がる。人間の神性を示し、足元に自然を従えることで自然を従える事で自然に対する人間の優位性を表している。」 ベルサイユの十字架
こういった自然感について、さらに別の部分で 「西欧世界には2つの自然感がある。自然を粗野で迷惑な存在、即ち失楽園として拒絶する見方と、その大地を豊かで美しい生活の場として受け入れる見方である。」としている。
こういった西欧世界の自然感に対して、日本の自然感について、マクハーグは 「日本の伝統では、自然に比べ、人間のとらえ方に不十分さがつきまとってきた。西欧世界の特筆すべき伝統は、個々人の独自性の強調と正義、思いやりの重視にこそある。これに対し、日本の中世封建社会では、一個人としての人間的生活およびその人権にしかるべき目が向けられることはなかった。西欧世界では、人間の優位性確立に際し自然が犠牲にされた。だが東洋では、自然と人間の調和確立に際し、個人たる人間が犠牲にされたのである。言うまでもなく、2つの存在、自然と人間の真の集成は人間を1つの種としてよりも、独自性を持った個々人としてとらえることにより初めて成し遂げられる。総体としての“自然の内なる人間”と見る事である。」
そして日本庭園について「比類ない日本の芸術様式はその庭園にこそ見られる。庭園こそは、儒教、道教、神道、禅を基とする日本社会の特質を表す形而上学的シンボル、すなわち人間を自然の内なる存在とする日本社会の特質を示すものである。」としている。
こういった強烈な幾何学の西洋庭園を見ると、その根底にある自然感といったものを考えてしまいますが、そんな事を考えながら庭園をウォッチングするのも、なかなか面白いかと思います。マクハーグの著述に興味のある方は、本を買って読んで下さい。ちょっと値段が高いですけどね。
by pennslanding
| 2013-02-25 13:57
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